短命にしない!ダイカスト金型の溶損を防ぐ3つのポイント

アルミダイカスト部品

ダイカスト金型の溶損とは、溶融した金属が金型の表面と反応・溶着し、型の材料ごとえぐり取られる損傷のことです。焼き付きやカジリとも呼ばれ、ゲート付近など溶湯が高温・高速で当たる箇所で起こります。

「ダイカスト金型の溶損で型が早く傷む」「補修を繰り返してコストがかさむ」とお悩みの方は多いはずです。溶損は、成形条件と金型設計、そして工法の選び方で大きく減らせます。溶損を防ぐポイントは、以下のとおりです。

  • ポイント①型温と離型剤の管理で溶損の起点を抑える
  • ポイント②ゲート設計と湯流速の調整で局所の溶損を防ぐ
  • ポイント③表面処理と型鋼の選定で溶損に強い金型にする

この記事では、当社がダイカスト金型の溶損を減らす実例、溶損を防ぐポイント、溶損が起きる仕組みと原因まで包括的に解説します。また、よくある質問についても解説していますので、ぜひ参考にしてください。

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ダイカスト金型の溶損を減らす3つの実例

ダイカスト金型の溶損は、工法・補修・設計の3つの視点で大きく減らせます。当社(株式会社藤岡エンジニアリング)は1952年に射出成形金型の研究を始め、1976年操業の久世工場(岡山県真庭市)で約50年にわたって金型を作り続けてきました。溶損に向き合ってきた現場から、対策を考えるうえで参考になる実例を紹介します。

実例①低温で扱うチクソ成形は溶損が起きにくい

当社は1998年にマグネシウム合金のチクソモールディング(半溶融のMg合金を金型に射出する成形法)を開始し、現在は650トン機2台を含む5台の成形機を27年間運用してきました。

チクソモールディングは金属を完全には溶かさない半溶融状態で扱うため、溶湯を高温で射出するダイカストより金型への負荷が小さく抑えられます。成形機メーカーの日本製鋼所も、溶湯温度が低い分だけ金型寿命が延びる工法だと説明しています。

溶損は溶融金属と型鋼の反応で進むため、溶湯を高温で扱わない工法を選ぶこと自体が根本的な備えになるのです。素材がマグネシウムで成り立つ製品であれば、工法の見直しが溶損対策の近道になります。

実例②溶損した金型を補修して延命した対応

溶損は金型の局所から進行するため、傷んだ部分を肉盛溶接(欠損部に溶接で肉を盛る補修)で埋め戻して、再研磨とコーティングの再処理で回復させれば、寿命の手前で使い捨てずに済みます。

当社は金型の製作から成形、機械加工までを一貫で手がけており、溶損部の状態を加工側の視点でも見極められます。自社製に限らず、他社で製作された金型の溶損補修や延命もお任せください。

なお、金型の寿命を向上させるポイントについては、こちらの記事で詳しく解説しています。

関連記事:メンテナンスが必須!金型の寿命を向上させる3つのポイント

実例③設計段階で溶損を作り込まない高耐久金型

溶損は使い始めてから対処するより、設計の段階で作り込まないことがもっとも効果的です。久世工場では「長期間使っても壊れにくく、品質を保てる金型」を設計思想に掲げ、ゲートの位置や冷却回路の配置、型鋼の選定を一体で作り込んでいます。

2023年には久世工場でアルミ鋳造事業を始め、350トンの鋳造機を導入しました。溶湯を扱うアルミ鋳造の知見が加わったことで、どの部位が溶損しやすいかを設計に反映しやすくなりました。金型を新規で手配する際は、初期価格だけでなく「溶損に強い設計か」を必ず確認してください。

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ダイカスト金型の溶損を防ぐ3つのポイント

溶損を防ぐには、成形条件・金型設計・素材選定の3つを合わせて手を打つことが欠かせません。溶損は1つの原因ではなく、熱・流れ・材料の条件が重なって進むためです。ここでは、効果を実感できる溶損対策のポイントを紹介します。

ポイント①型温と離型剤の管理で溶損の起点を抑える

金型の温度が高すぎると、溶融金属と型鋼が反応しやすくなり溶損の起点になります。立ち上げ時の予熱と成形中の型温を適正な範囲に保ち、冷却回路で局所的な過熱を抑える管理が基本です。

離型剤は型と溶湯の間に膜をつくり、溶着を防ぐ役割を担います。塗布量が不足したり膜が切れたりすると溶損が一気に進むため、塗布のムラをなくす管理が欠かせません。冷却水の詰まりも局所過熱を招くため、定期的な洗浄で冷却効率を保ちましょう。

ポイント②ゲート設計と湯流速の調整で局所の溶損を防ぐ

溶損は、溶湯がゲート付近など特定の面へ高速でぶつかり続ける箇所から進みます。湯が金型を削るように侵食するエロージョンが起こるため、ゲートの位置や形状、湯が流れる速さの設計が対策の要です。

湯流速が速すぎる場合は、ゲート断面やランナーの見直しで流れを分散させる方法が有効です。溶湯が一点に集中しない方案にすると、局所の溶損とエロージョンを同時に抑えられます。流動解析を使えば、溶損が起きやすい箇所を金型製作の前に把握できます。

ポイント③表面処理と型鋼の選定で溶損に強い金型にする

同じ成形条件でも、金型の表面と材質しだいで溶損の進み方は変わります。窒化処理やPVDコーティング(物理蒸着による硬質皮膜)は、型鋼の表面に溶融金属が反応しにくい層をつくり、溶損と焼き付きを抑えます。

型鋼そのものの選定も大切です。熱間ダイス鋼を適正な硬度で使い、溶湯と反応しにくい表面処理を組み合わせると、溶損に強い金型に仕上がります。新品への処理だけでなく、一定ショットを使った金型への再処理も溶損の進行を遅らせるのに有効です。

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ダイカスト金型が溶損する仕組み

溶損とは、溶融した金属が金型の表面と化学的に反応して溶着して、離型のときに型の材料ごと持っていかれる損傷です。

鉄でできた型鋼と溶融アルミが金属間化合物(鉄とアルミが結びついた硬くもろい層)をつくり、その部分が製品側に引きちぎられてえぐれていきます。よく混同されるヒートチェックとは、発生する仕組みが異なります。

◆溶損とヒートチェックの違い(筆者作成)

項目溶損ヒートチェック
主な原因溶融金属と型鋼の反応・溶着・侵食加熱と冷却の繰り返しによる熱疲労
現れ方ゲート付近などが局所的にえぐれる型表面に網目状の微細な亀裂が広がる
効く対策型温・湯流速・離型剤・表面処理・工法予熱・急冷防止・応力除去

ヒートチェックが加熱と冷却の繰り返しによる熱疲労の亀裂であるのに対して、溶損は溶融金属との反応・侵食による型材の欠損です。両者の違いを押さえて、対策の優先順位を見極めましょう。

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ダイカスト金型の溶損を招く3つの原因

溶損が起きる原因は、熱・流れ・材料の3つに整理できます。自社の成形条件でどれが支配的かを知ることが、対策の出発点です。ここではダイカスト金型の溶損を招く原因を解説します。

◆ダイカスト金型の溶損を招く3つの原因の概要図(筆者作成)

◆ダイカスト金型の溶損を招く3つの原因の概要図(筆者作成)

原因①高すぎる溶湯温度と局所的な過熱

溶損は、溶湯温度が高いほど、また金型の一部が過熱しているほど進みやすくなります。温度が高いと鉄とアルミの反応が加速して、型鋼の表面が溶着を起こしやすくなるためです。

溶湯温度を必要以上に上げず、型温を均一に保つ管理が、溶損を抑える最初の一歩になります。冷却回路の詰まりによる局所的な過熱も、溶損を早める見逃せない要因です。

原因②ゲート付近の速い湯流速によるエロージョン

ゲート付近など溶湯が高速でぶつかり続ける箇所では、湯が金型を削るエロージョンが溶損を進めます。流れが一点に集中すると、その面だけが局所的にえぐられていきます。

湯流速を適正化して、溶湯が一点に集中しない方案に見直す方法が、この原因への直接的な対策です。ゲート断面やランナーの設計を、流動解析で事前に検証する方法も効果を発揮します。

原因③離型剤の膜切れと型鋼の耐溶損性不足

離型剤の塗布が不足したり膜が切れたりすると、溶湯が直接型鋼に触れて溶着が進みます。型鋼の耐溶損性が低かったり表面処理がなかったりする場合も、溶損は避けられません。

離型剤の安定した塗布と、耐溶損性の高い型鋼・表面処理の組み合わせが、溶損への備えになります。アルミ合金の成分によっても溶損の起きやすさは変わるため、材料と金型の相性も確認してください。

なお、アルミダイカストについては、こちらの記事で詳しく解説しています。

関連記事:アルミダイカストとは?主な特徴やメリット・デメリットを詳しくご紹介!

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ダイカスト金型の溶損対策なら「株式会社藤岡エンジニアリング」

ダイカスト金型の溶損対策なら「株式会社藤岡エンジニアリング」

ダイカスト金型の溶損にお悩みなら、1952年から金型づくりに携わる「株式会社藤岡エンジニアリング」にご相談ください。久世工場での約50年の金型製造と、1998年から27年にわたるマグネシウムチクソ成形の運用で、溶損を含む金型のトラブルに向き合ってきました。

金型の設計・製作から成形、20ミクロン精度の機械加工までを一貫で手がけ、溶損に強い金型づくりと傷んだ金型の補修・延命の両面に対応します。「修理の依頼先がなくなった」という他社製金型のご相談も承っています。まずは、お問い合わせからお気軽にご連絡ください。⇒株式会社藤岡エンジニアリングへのお問い合わせはこちら

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ダイカスト金型の溶損でよくある3つの質問

ダイカスト金型の溶損でよくある質問をご紹介します。それぞれ詳しくみていきましょう。

質問①溶損が起きると製品にどんな影響が出ますか?

溶損した型面はそのまま製品へ転写されるため、表面のむしれやザラつき、寸法の変化が出やすくなります。溶着が進むと、製品が型に食いついて離型不良を起こしがちです。

溶損はゲート付近など局所から進むため、その部位の形状崩れやバリが増え、放置すれば不良率も後工程の手間も一気に膨らみます。製品の品質を守るためにも、溶損は初期のうちに手を打つことが大切です。

質問②溶損した金型は補修できますか?

多くの場合、補修は可能です。溶損した部分を肉盛溶接で埋め戻して、再研磨と表面処理の再処理を行えば、寿命の手前で使い捨てずに延命できます。

しかし、溶損が深部まで進んだ金型や、補修費用が新規製作の半分を超える場合は、更新を検討するタイミングとなります。

質問③溶損しにくい素材や工法はありますか?

溶湯を高温で扱うほど溶損は進みやすいため、成形温度の低い工法ほど金型への負荷は小さくなります。マグネシウムのチクソモールディングは半溶融で金属を扱い溶湯に触れないため、溶損が起きにくい工法です。

素材や要求特性しだいで選択肢は変わるため、設計の初期段階からご相談ください。

なお、チクソモールディングについては、こちらの記事で詳しく解説しています。

関連記事:チクソモールディングとは?マグネシウム成形技術のメリット・デメリットをご紹介!​

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ダイカスト金型の溶損を防いで金型を長持ちさせよう!

ダイカスト金型の溶損は「決まって起こるもの」ではなく、条件しだいで減らせるものです。まずは、以下のポイントから着手してみましょう。

  • ポイント①型温と離型剤の管理で溶損の起点を抑える
  • ポイント②ゲート設計と湯流速の調整で局所の溶損を防ぐ
  • ポイント③表面処理と型鋼の選定で溶損に強い金型にする

また、長期保管する金型は防錆と湿度管理も欠かせません。溶損とは別に、保管中の錆も金型の寿命を縮める要因になります。

「藤岡エンジニアリング」では、高い技術力が求められるダイカスト金型の製作において、70年超の歴史と先進的なチクソ成形技術を融合させ、軽量・高精度な部品を一貫体制で提供しています。お客様の要求を満たす最適なダイカスト金型や精密部品の製造について、ぜひ藤岡エンジニアリングにご相談ください。藤岡エンジニアリングへのお問い合わせはこちら

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