車載部品の薄肉化を進めるほど、マグネシウムの振動を吸収する性質である「振動吸収性」が気になってきます。アルミや樹脂で軽くすると共振や騒音が増え、防振ゴムや補強を後付けすれば重量とコストが元に戻るというジレンマは、素材そのものの減衰能で断ち切れます。
マグネシウムは実用金属で最軽量でありながら、鉄より高い振動吸収性を持つためです。マグネシウムの振動吸収性を車載部品で再現するポイントは、以下のとおりです。
- ポイント①減衰能と強度のバランスで材料を選ぶ
- ポイント②薄肉部の共振・ビビリを素材で抑える
- ポイント③チクソ成形で制振形状を安定量産する
- ポイント④三次元測定で量産の再現性を検証する
この記事では、マグネシウムの振動吸収性が鉄やアルミより高い理由を、結晶内部の転位が動く内部摩擦の仕組みから解説し、比減衰能SDCなど指標の見方や主要金属の比較、車載部品で軽量化とNVH低減を両立させた事例まで紹介します。ぜひ参考にしてください。


【事例】共振を抑え軽量化した車載部品|マグネシウムの振動吸収性
軽量化と振動対策を同時に求められる車載部品では、アルミや樹脂を薄くするほど共振・騒音が増え、防振ゴムや補強を後付けすると重量とコストが逆戻りします。株式会社藤岡エンジニアリングは、この行き詰まりをマグネシウムのチクソ成形への置き換えで解いてきました。
マグネシウムは比重約1.8(アルミの約3分の2、鉄の約4分の1)と実用金属で最も軽く、振動吸収性は鉄より優れるため、軽量化とNVH(振動・騒音・ハーシュネス)低減を1つの素材で両立できます。ここでは置き換えを課題・対策・結果の順にたどり、次章以降で理由・指標・比較・用途へ掘り下げます。
課題:薄肉化で増える共振・騒音を後付けなしで抑えたい
車載部品では、燃費や航続距離のための軽量化とNVHの低減を同時に迫られます。アルミや樹脂で板厚を薄くすると固有振動数が下がり、エンジンやモーター、路面からの加振域と重なって共振やビビリ音が出やすくなります。
軽さと静かさを両立したいのに、後付けの防振ゴムや補強がその重量とコストを逆戻りさせてしまう点が薄肉化の根本ジレンマです。Tier1サプライヤーや完成車メーカーの設計者も、この「軽くすると鳴く」壁に繰り返し直面しています。
対策:アルミ・樹脂からマグネシウムのチクソ成形へ置き換える

私たちの提案は、アルミダイカストや樹脂の部品をマグネシウム合金のチクソ成形へ置き換える設計です。チクソ成形とは、合金を完全に溶かさず半溶融のまま大気に触れさせずに金型へ射出する成形法です。
マグネシウムは素材そのものが振動を熱へ変えて減らすため、防振部品を足すのではなく構造材に制振を担わせます。 私たちは1998年に国内最初期からチクソ成形を始め、27年超のノウハウで手のひら〜A4サイズの薄肉精密部品を安定して成形しています。
結果:軽量化とNVH低減を後付けなしで両立し量産で再現
置き換えによって部品単体の重量が下がり、共振点が使用回転域から外れて騒音とビビリが収まります。防振部品が要らないぶん、部品点数と組立工数も減らせます。
◆アルミダイカストからマグネシウムチクソ成形への置き換え効果(車載部品の例)
| 比較項目 | 置き換え前(アルミダイカスト/樹脂) | 置き換え後(マグネシウムチクソ成形) |
| 比重の目安 | アルミ約2.7/樹脂は補強で増加 | 約1.8(アルミの約3分の2) |
| 振動吸収性(減衰能) | 低く共振・騒音が出やすい | 鉄より高く振動を熱へ変えて減衰 |
| 防振ゴム・補強 | 後付けで重量とコストが逆戻り | 構造材が制振を担い後付けが不要 |
| 量産の再現性 | ばらつくと振動特性も変動 | 三次元測定で毎個そろえて再現 |
比重約1.8の軽さと制振を同時に確保でき、しかも一発の試作ではなく量産の毎個で再現できる点が要です。精密三次元測定機4台で寸法と肉厚のばらつきを管理しており、量産ロットでも狙った振動特性を外しません。

マグネシウムの振動吸収性を車載部品で再現する4つのポイント
ここからは、マグネシウムの振動吸収性を車載部品で実際に効かせるための勘どころを、材料選定から量産検証まで4つに分けて説明します。カタログの代表値を読むだけでは、実部品での制振はなかなか狙いどおりになりません。どれか1つでも欠けると、狙った静粛性が量産で崩れます。
◆マグネシウムの振動吸収性を車載部品で再現する4つのポイントの概要図(筆者作成)

ポイント①減衰能と強度のバランスで材料を選ぶ
減衰能(振動を吸収して減らす能力)と強度はトレードオフの関係にあり、この点を理解して材料を選びます。純マグネシウムは減衰能が非常に大きい一方で、強度は高くありません。
AZ91やAZ31などのマグネシウム合金は、アルミや亜鉛を加えて強度を上げるかわりに、減衰能は純マグネシウムより下がります。制振を最優先するのか、強度との両立を取るのかで、選ぶべき材料が変わります。
部品にかかる荷重と要求する静粛性を一問一答で伺い、純マグネシウム寄りか合金寄りかを一緒に見極めなければなりません。用途に対して過不足のない材料を選ぶ姿勢が大切です。
ポイント②薄肉部の共振・ビビリを素材で抑える
薄肉部の共振やビビリは、防振ゴムや補強に頼らず素材側と形状で抑えるのが基本です。板厚を薄くすると固有振動数が下がり、走行入力の周波数と重なって共振しやすくなります。
マグネシウムは内部摩擦が大きく、共振したときの振幅そのものを素材が減らします。さらに、リブや断面形状で固有振動数を使用域の外へずらせば、鳴きを二重に抑える設計も可能です。
素材の減衰と形状の設計を組み合わせることで、後付け部品なしでも共振のピークを低く保てます。
ポイント③チクソ成形で制振形状を安定量産する
チクソ成形の薄肉精密成形なら、軽量化と制振をそのまま量産へ落とし込めます。チクソ成形は半溶融のマグネシウムを金型へ高速で射出するため、薄く複雑な形状でも巣(内部の空洞)が少なく安定します。
マグネシウムの減衰能は組織の健全性に左右され、内部に巣や酸化物が多いと本来の性能を発揮できません。溶湯を大気に触れさせないチクソ成形は酸化やガスの巻き込みが起きにくく、薄肉でも緻密で均質な組織を得やすい工法です。
この組織の均質さが、狙った減衰能を製品ごとにばらつきなく再現することにつながります。 制振を織り込んだ薄肉形状を量産で安定させるには、こうした組織を健全に保てる成形工法を選ぶことが欠かせません。
なお、チクソモールディングについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
関連記事:チクソモールディングとは?マグネシウム成形技術のメリット・デメリットをご紹介!
ポイント④三次元測定で量産の再現性を検証する

量産部品の再現性は、三次元測定まで含めて検証したうえで確保します。試作一個でよい特性が出ても、量産ロットで肉厚や寸法がばらつけば、振動特性も一緒にぶれてしまいます。
肉厚・平面度・取り付け基準を継続的に測り、設計が狙った剛性と減衰から外れていないかを確認しなければなりません。振動吸収性は、量産で寸法がそろって初めて図面どおりの効果になります。
さらに、金型から成形・加工・検査までを一貫して管理できる体制ほど、工程間のばらつきを抑えやすくなります。供給の継続性やリードタイムまで含めて、量産を任せられる体制かを見極めることが大切です。

マグネシウムの振動吸収性(減衰能)が鉄・アルミより高い2つの理由
マグネシウムの振動吸収性が鉄やアルミより高いのは、金属の内部で起きるエネルギー変換の仕組みが違うためです。振動吸収性は専門的には減衰能(damping capacity)と呼ばれ、振動エネルギーを熱に変えて散らす能力を指します。
マグネシウムは、結晶の中の欠陥が振動のたびに動いて内部摩擦を生み、その摩擦で振動を熱へ変える性質が際立って強い金属です。ここでは、その正体である転位(てんい)の運動と、純度が減衰能を左右する理由を、設計判断の背景として押さえます。
◆マグネシウムの振動吸収性(減衰能)が鉄・アルミより高い2つの理由の概要図(筆者作成)

理由①振動吸収性の正体は結晶内部の転位が動く内部摩擦
金属の結晶には、原子の並びがずれた転位という線状の欠陥が無数に含まれます。マグネシウムに振動が加わると、この転位が前後に細かく動き、原子どうしが擦れ合うように内部摩擦を生みます。
この摩擦が振動のエネルギーを熱へ変え、揺れをすばやく減衰させます。マグネシウムは結晶構造の都合で転位が動きやすく、そのぶん内部摩擦が大きくなります。
振動吸収性の正体は、結晶内部で転位が動いて振動エネルギーを熱に変える内部摩擦にあります。 鉄や一般的なアルミ合金ではこの動きが小さく、揺れが長く残りやすい金属です。
理由②純度が高いほど転位が動き減衰能が上がる
転位が自由に動けるほど内部摩擦は大きくなり、減衰能は高くなります。しかし、不純物の原子や添加元素が結晶の中に入ると、それらが転位を引き止めて動きを鈍らせます。
このため、純度が高いマグネシウムほど転位がよく動き、振動吸収性も伸びます。一方、強度を狙って合金元素を加えると、転位が留められて減衰能は下がっていきます。
純度が高いほど減衰能が上がるのは、転位を邪魔する不純物が少なく、転位が振動のたびに存分に動けるためです。 この関係が、のちほど述べる制振性か強度かという材料選定の軸に直結します。

振動吸収性を測る3つの指標
振動吸収性を設計で扱うには、感覚ではなく数値の指標で比べる必要があります。代表的な指標は、比減衰能(SDC)、内部摩擦、対数減衰率の3つです。
同じ振動を吸収する力でも、一回の振動で失うエネルギーの割合を見るのか、減衰の大きさを見るのか、収まる速さを見るのかで指標が分かれます。3つは互いに関係していますが、着目点はそれぞれ違う指標です。
これらの指標の定義や測定方法は、J-STAGE(科学技術振興機構)で公開される金属材料の学術論文でも共通して用いられています。
◆振動吸収性を測る3つの指標の概要図(筆者作成)

指標①比減衰能(SDC)で振動エネルギーの吸収割合を読む
比減衰能(SDC=Specific Damping Capacity)は、一回の振動サイクルで失われる振動エネルギーの割合を百分率で表した指標です。値が大きいほど、その素材が一度の揺れで多くのエネルギーを熱へ捨ててしまいます。
たとえば、SDCが大きい純マグネシウムは、加わった振動を短時間で大きく減らします。SDCは一往復で振動エネルギーの何割を吸収するかを示すため、素材どうしの制振性を直感的に比べやすい指標です。
しかし、SDCはひずみの大きさ(振動の強さ)で変わるため、比較するときは同じ条件で測った値どうしを並べることが欠かせません。
指標②内部摩擦(Q⁻¹・tanδ)で減衰の大きさを比べる
内部摩擦は、素材内部で振動エネルギーがどれだけ散逸するかを表しており、Q⁻¹(キューインバース)やtanδ(タンジェントデルタ)という記号で示されます。Q⁻¹は共振の鋭さの逆数で、値が大きいほど減衰が大きいことを意味します。
tanδは、加えた力に対して変形が遅れる度合いを表し、こちらも大きいほどよく振動を吸収する指標です。内部摩擦は減衰の大きさを表す物理量で、SDCとほぼ対応しながらより基礎的に比較できます。
車載部品の共振対策では、この内部摩擦が大きい素材ほど、共振点での振幅のピークを低く抑えられます。
指標③対数減衰率で振動が収まる速さを確かめる
対数減衰率は、自由に揺らした振動が一往復ごとにどれだけ小さくなるかを対数で表した指標です。減衰していく波形の、隣り合う山の高さの比をもとに求め、値が大きいほど揺れが速く収まります。
たとえば、部品を叩いて揺らしたとき、対数減衰率が大きい素材なら数回の振動で静かに収まります。対数減衰率は振動がどれだけ速く収まるかを示すため、打撃や過渡的な入力への強さを見るのに向いています。
走行中の段差入力のように、瞬間的な衝撃が繰り返される車載部品では、この収まりの速さが体感の静粛性に直結します。

純Mg・Mg合金・アルミ・鉄・チタンの減衰能比較と合金化の代償
ここまでの指標を使って、純マグネシウム・マグネシウム合金・アルミ・鉄・チタンの減衰能を並べて比べ、合金化で何が起きるのかを整理します。数値は測定条件で幅が出るため、ここでは大小の桁感をつかむ目安としてご覧ください。
純マグネシウムの減衰能は他の実用金属より桁違いに大きく、合金化するほどその優位は縮まっていきます。まず比較表で全体像をつかみ、次に合金化で減衰能が下がる理由、最後に制振性重視か強度重視かという選定軸を見ていきます。
主要金属の減衰能比較表と桁違いの制振性の見方
主要な金属の減衰能を相対的に並べると、桁で違う制振性の差が見えてきます。以下は方向性を示す整理で、実際の値は組成・純度・測定条件で変わります。
◆主要金属の減衰能(振動吸収性)と比重の目安(筆者作成)
| 金属 | 減衰能(振動吸収性) | 比重の目安 | 制振の位置づけ |
| 純マグネシウム | 非常に高い | 約1.8 | 最軽量で制振性を最優先する用途 |
| マグネシウム合金(AZ91・AZ31など) | 中〜高 | 約1.8 | 強度・鋳造性と制振性の両立 |
| アルミニウム | 低い | 約2.7 | 軽いが振動が響きやすい |
| 鉄・鋼 | 低〜中 | 約7.9 | 剛性は高いが制振は加工で補う |
| チタン | 低い | 約4.5 | 高強度だが減衰は小さい |
純マグネシウムは、最軽量でありながら減衰能が最も高いという、他の実用金属にない組み合わせを持ちます。
合金元素・結晶粒界が転位を妨げ強度と引き換えに減衰能が下がる
合金元素を加えると、なぜ減衰能が下がるのかを仕組みで押さえます。アルミや亜鉛などの元素は、結晶の中に溶け込み、析出物(結晶内に現れる小さな粒)を作って、転位の動きを妨げます。
さらに、結晶粒界(結晶と結晶の境目)が増えても、転位はそこで動きを止められます。転位が動けないほど内部摩擦は小さくなり、減衰能は落ちます。
強度を上げる仕掛けは、そのまま転位を止める仕掛けでもあるため、強度と減衰能は基本的に引き換えの関係になります。この物理を知っておくと、カタログの強度と制振の数値を見たときに納得して選べます。
なお、アルミとマグネシウムの比重の違いについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
関連記事:アルミとマグネシウムの比重の違い!軽量化を実現するポイント
制振性なら純Mg、強度との両立ならMg合金という選定軸
以上を踏まえると、材料選定の軸はシンプルになります。制振性を最優先して、荷重がさほど大きくない部品なら、純マグネシウムに近い材料が向きます。
一方で、強度や剛性も一定以上必要な構造部品なら、AZ91やAZ31などのマグネシウム合金で強度と制振のバランスを取りましょう。制振性なら純マグネシウム、強度と両立ならマグネシウム合金という一本の軸で、多くの車載部品は判断できます。

制振鋼板・Mn-Cu系制振合金と比べたマグネシウムの位置づけ
マグネシウムの位置づけをより正確につかむために、ほかの代表的な制振材である制振鋼板とMn-Cu系制振合金と比べておきます。制振材にはいくつかの型があり、振動を減らす仕組みが異なります。
同じ制振材でも、樹脂を挟んで減衰する複合型と、素材そのものが減衰する合金型では、軽量化との相性が大きく変わります。ここでは、それらの違いと、軽量化まで含めて考えたときにマグネシウムが有利になる場面を整理します。
複合型・合金型の制振材との違い
制振鋼板は、二枚の鋼板の間に薄い樹脂層を挟み、その樹脂のせん断変形で振動を熱に変える複合型の制振材です。制振性は高い一方で、母材が鋼のため重く、成形の自由度にも制約があります。
Mn-Cu系制振合金は、マンガンと銅を主体にした合金型の制振材で、素材内部の組織変化によって振動を吸収するタイプです。減衰能は高いものの比重が大きく、部品は重くなります。
制振鋼板もMn-Cu系合金も制振性は優秀ですが、いずれも比重が大きく、軽量化とは両立しにくい点が共通の弱みです。マグネシウムはこの重さの問題を最初から抱えていません。
軽量化まで含めるとマグネシウムが有利になる場面
制振性だけを比べれば、制振鋼板やMn-Cu系合金も十分に高い水準にあります。しかし、車載部品のように軽さと静かさの両方を求められると、評価は変わります。
マグネシウムは比重約1.8と軽く、減衰能も大きいため、軽量化と制振を1つの素材でまとめて満たせます。重い制振材で対策すると軽量化の目標を崩すため、軽さが要件に入る瞬間にマグネシウムが有力な選択肢です。
たとえば、回転体まわりのカバーや、振動源に近いブラケットのように、軽くしたいのに鳴きやすい部位でマグネシウムの強みが効いてきます。

マグネシウムの振動吸収性が活きる用途(手ブレ抑制から車載部品まで)
最後に、マグネシウムの振動吸収性が実際に活きる用途を、身近な機器から車載部品まで見渡します。制振と軽さの両立が効く場面は、想像より幅広いのです。
振動を抑えたい、しかも軽くしたいという2つの要求が重なる部位ほど、マグネシウムの振動吸収性が価値を発揮します。ここでは、騒音・共振・手ブレの抑制という考え方、自動車・EVの車載部品での両立、高温や大きなひずみで特性が変わる注意点を順に説明します。
騒音・共振・手ブレ抑制での制振の考え方
マグネシウムの制振性は、身近な精密機器で古くから活かされてきました。たとえば、カメラの筐体では、素材が振動を吸収することで手ブレやシャッター動作の揺れを抑えます。
電子機器の筐体でも、ファンやスピーカーの振動が共振して耳障りな音になるのを、素材自体が静めます。共振を抑える対策と騒音を下げる対策を、部品を足さずに素材だけで担える点が強みです。制振の基本は、揺れが生まれる場所そのものに、振動を吸収する素材を使ってしまう発想にあります。
自動車・EVの車載部品で軽量化とNVH低減を両立する
自動車やEVの車載部品では、軽量化とNVH低減の両立というテーマにマグネシウムが正面から応えます。アルミダイカストや樹脂の部品をマグネシウムのチクソ成形へ置き換えれば、軽さと制振を同時に手に入れられます。
EVはエンジン音が消えるぶん、モーターや路面からの微振動・こもり音が目立ちやすく、素材レベルの制振がいっそう効きます。防振ダンパーや補強を後付けせず、構造材そのものに制振を担わせられる点が車載での価値です。
なお、マグネシウムの自動車用途とポイントについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
関連記事:軽量化の実例つき!マグネシウムの自動車用途5選とポイント
高温・高ひずみ域では減衰能が変化する点に注意する
マグネシウムの減衰能は条件によって変わる点にも注意が必要です。減衰能はひずみが小さい領域では素直に働きますが、ひずみが大きくなると転位の動き方が変わり、減衰の出方も変化します。
温度が高くなる部位でも、素材の挙動が常温と同じとは限りません。カタログの代表値は測定条件つきの値であるため、実際の使用温度とひずみ域で成立するかを確かめる姿勢が欠かせません。
実部品での評価を重視し、想定される温度と入力の範囲で振動特性を確認したうえで量産へ進めることが大切です。

軽量化と振動吸収性を両立する車載部品なら、株式会社藤岡エンジニアリング

軽量化と振動吸収性を両立する車載部品は、素材選びだけでなく成形・加工・測定までの作り込みで量産が成立します。株式会社藤岡エンジニアリングは岡山県真庭市で全工程を社内一貫で担い、1998年に国内最初期から始めたマグネシウムのチクソ成形で27年超のノウハウを積み上げてきました。
国内では希少なチクソ成形機5台・マシニングセンター約80台・三次元測定機4台を備え、金型から検査までを一社で完結してA4サイズまでの薄肉精密部品を量産します。
ISO9001・ISO14001認証と医療機器製造事業所認可の実績、富山大学との共同開発を背景に、車載部品の材料選定から量産までご相談を承ります。詳しくは藤岡エンジニアリングの公式サイトをご覧ください。

マグネシウムの振動吸収性でよくある3つの質問
「マグネシウムの振動吸収性」でよくある質問にお答えします。カタログの代表値だけでは判断しきれない部分こそ、量産を前提にした実務の感覚が役に立ちます。以下では、倍率の目安、合金化による低下、薄肉部品での量産再現という三つの疑問に順にお答えします。
質問①マグネシウムの振動吸収性はアルミや鉄の何倍ですか?
純マグネシウムの振動吸収性は、比減衰能で見ると鉄やアルミに対して一桁以上大きいのが目安です。厳密な倍率は測定するひずみや温度、材料の純度で変わるため、単一の数字で言い切るのは適切ではありません。
それでも、実用金属のなかでマグネシウムが突出して制振性が高いという傾向は一貫しています。アルミや鉄の何倍という問いには、条件つきで一桁以上という桁感でお答えするのが正確です。
大切なのは絶対倍率よりも、同じ条件で比べたときにマグネシウムが明確に上位へ来るという事実です。
質問②合金にすると振動吸収性はどれくらい下がりますか?
AZ91やAZ31などの合金にすると、振動吸収性は純マグネシウムより下がります。下がり幅は添加元素の量や熱処理、組織の状態で変わるため、一律に何割減とは言えません。
しかし、合金化しても、アルミや鉄と比べれば依然として高い制振性を保つ場合が多く、強度を得たうえで一定の減衰能を残せます。合金化で減衰能は下がりますが、強度という見返りと引き換えに、必要な制振を残す配分が設計の見せどころです。
質問③薄肉の車載部品でも振動吸収性は量産で再現できますか?
薄肉の車載部品でも、振動吸収性を量産で再現できます。成形段階で内部の巣や肉厚のばらつきを抑え、素材本来の減衰能が毎個そろって出るようにすることがポイントです。
チクソ成形のように半溶融で射出する工法は内部欠陥が少なく、薄肉でも組織が安定します。この内部品質を三次元測定などで継続的に管理できれば、量産ロットでも狙った振動特性を保てます。
試作の一個ではなく量産の毎個で同じ静粛性を出すには、成形の内部品質と検査による管理をそろえることが欠かせません。

まとめ|振動吸収性で軽量化と制振を両立させよう!
マグネシウムの振動吸収性(減衰能)は、結晶内部の転位が振動のたびに動いて内部摩擦として振動エネルギーを熱へ変えるため、鉄やアルミより高い水準を示します。この特性を薄肉の車載部品で活かせれば、防振ゴムや補強を後付けしなくても、軽量化とNVH(振動・騒音・ハーシュネス)の低減を同じ素材と工法で両立できます。
カタログの代表値ではなく量産の実部品で振動吸収性を成立させる鍵は、材料選定から供給体制まで一連の判断をそろえることにあります。 以下のポイントを、採否を決める次の一歩として振り返ります。
- ポイント①減衰能と強度のバランスで材料を選ぶ
- ポイント②薄肉部の共振・ビビリを素材で抑える
- ポイント③チクソ成形で制振形状を安定量産する
- ポイント④三次元測定で量産の再現性を検証する
また、減衰能は使用条件で変わる点にも触れておきます。高温域や大きなひずみが加わる領域では内部摩擦の挙動が変化するため、実使用に近い温度・振幅で評価しておくと、設計時の想定と量産部品の挙動のずれを小さく抑えられます。
マグネシウム材料の基礎特性は、藤岡エンジニアリングのマグネシウムの特徴でも確認できます。軽量化とNVH低減を一つの素材で両立させたい車載部品の材料選定は、金型から成形・機械加工・検査まで社内一貫で対応できる体制とあわせて検討すると、採否の判断が早まります。
薄肉の車載部品でマグネシウムの振動吸収性を量産へ落とし込みたい方は、株式会社藤岡エンジニアリングへご相談ください。1998年から国内最初期に取り組んできたチクソ成形の実績と、金型・成形・機械加工・検査までの一貫生産で、軽量化とNVH低減の両立を材料選定から量産まで伴走します。⇒藤岡エンジニアリングへのお問い合わせはこちら



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